今回の記事は、noteの定期購読マガジン「ロンパースルームDX」で公開した『還暦不行届』第四回に加筆修正をし、「ユリイカ 2021年7月臨時増刊号 総特集=安野光雅」に寄稿した文章です。(スタッフ)1月に安野光雅先生の訃報を知った。 年代を問わずその作品に触れて育った人は多いと思う。 私もその1人で、幼稚園の頃に出会った「ふしぎなさーかす」は毎日見ていても飽きず一日に何回もページをめくり、一つの絵からいろんなことを想像した。 どのページをとってもいくらでも想像が膨らんで止まらない。 本当にふしぎで、ページの中に描かれていない動物や人々が隣のページの裏に隠れているような感じがするのだ。 なんとかしてそれを捕まえてみたいと園児の私はすごい速さでページをめくって見たりしていた。 ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、私のペンネームの「安野」は光雅先生から拝借した。 十五歳で漫画を初投稿した時の