歌野晶午さんの「ディレクターズ・カット」を読み終わった。 相変わらずどんでん返しが冴えていて、面白い。 冒頭は著者お得意の口が悪く乱暴で、サイコパスじみた若者たちの無軌道なお遊びから。 コインランドリーで水着姿になり動画配信、洗濯物を取りに来た無関係の学生をボコる。打ち上げのファミレスでは店員を脅しつけ、挙句に店長を呼び出し、土下座しろとはやし立てる。やんちゃで粗暴、眉をひそめたくなるDQNそのもの。 物語が動き出すのは打ち上げ後にグループのリーダー、虎太郎が駐車場で刺されるシーンからだ。 かろうじて命は助かるものの、犯人は取り逃がしてしまう。 すぐに警察、救急車を呼ばなくてはいけない事態だが、虎太郎はなぜか先輩に連絡する。 命が懸かるような事態に、なぜか? それは彼が引き受けている『アルバイト』のせいだった。 依頼者は虎太郎の学生時代の先輩で、制作会社のディレクター長谷見。 実は虎太郎た