ジャンヌ・ダルクの心臓が火刑後も焼けずに残ったというエピソードがまことしやかに語られ、聖女ジャンヌの奇跡として取り上げられることも多いようだ。 ジャンヌ・ダルク復権裁判での証言このエピソードの出典はジャンヌ・ダルク復権裁判での関係者の証言である。1431年のジャンヌ・ダルク処刑裁判当時、ルーアン管区司祭長で処刑裁判の召集など運営実務を行う法廷執行吏を務めたジャン・マッシュウ”Jean Massieu”が以下のように証言している。 『私は、ルーアンの国王代官の書記ジャン・フルーリーがこう言うのを聞きました。死刑執行人がジャンに、ジャンヌの躯は焼きつくされて灰になってしまったが、心臓だけは無傷で血がいっぱいだったと語ったというのです。しかし灰と彼女の残したものはすべて一緒に集めて、セーヌ川に捨てるように命令されたので、その通りにしたということです。』(レジーヌ・ペルヌー編著(高山一彦訳)『ジャ