女性が直面する障害物はたくさんあるが、その頂点に君臨するのが「恐れ」である。みんなに嫌われる恐れ、まちがった選択をする恐れ、世間のネガティブな関心を引く恐れ、力量以上のことを引き受けてしまう恐れ、非難される恐れ、失敗する恐れ……。そして極めつきは、悪い母親、悪い妻、悪い娘になる恐れである。 「とりあえず、エッチしよ」そう言ったのは、初めてアルバイトをした会社の関係者で、当時十代だったわたしは、大人の世界とはこんなもので若い女子は耐えなくてはいけないと無意識に思っていた。 それから数年して、また別のアルバイト先で出会った男性も「二の腕の柔らかさはおっぱいと同じなんだって〜」と言って二の腕を触ってきた。それはお酒の席だったし、やはりこんなものだと半ば諦めみたいな感情でいた。 新卒ではてなに入社し、そこはそれまでのアルバイト先と違ってとても平等と思われる空間だったけれども、わたしには「女は笑顔で