1 その晩もいつも通り床に入ったのですが、喉が妙に渇いて。明日も仕事があります。早いので少し我慢して、このまま眠てしまおうと、目を瞑ったままじっとして居りましたが、渇きのことばかり気になって。眠れないまま暫くの後、仕方なしと観念して台所へ立ったのです。蛇口をひねり、流れる水をコップで受けます。薄暗い蛍光灯の灯の下に、水が朗々と流れ溜まるのを見ました。 床へ戻り、ふと柱時計に目をやると、いつもならとっくに眠っている時間で。秒針のこくこくと刻む音が。僕はその音に、明日の仕事の事を思い出し、片付けなければならない事などが、いっせいにうわっと頭を巡ると、もう何としてでもこれで眠らなければならんと、そう思い、もう、とにかくもう眠ろうと念じ固く瞼を閉じれば閉じるほど、秒針の音は、耳の奥、頭の隅々まで響いて、気になってならないのです。 汗がじっとりと。 十二月の夜の事です。寒さを逃れようと、厚くかけた布