四半世紀にわたり続いていた炊き出しの現場が失われようとしている。東京・渋谷駅近くの美竹公園。再開発を理由に、公園を管理する渋谷区が突然、周囲に囲いを立てて出入りの制限に乗り出した。「ここで生きつないできたのに…」。ハロウィーンの喧噪(けんそう)をよそに、切実に語る利用者の声に耳を傾けた。 野菜と鶏肉のまぜご飯。これが、美竹公園の定番メニューだ。公園を拠点とする困窮者支援団体「のじれん」が29日に開いた炊き出しは、豚汁付きで172食が提供された。ボランティア約50人と路上生活者が協力して調理し、配る。支援者の1人は、行列をみながらつぶやいた。「ここでの炊き出しは、きょうが最後かもしれません」—。