「スリバチ」と聞いて皆様は何を思い浮かべるでしょうか。 一般的には「すり鉢」、すなわちゴマなどの食品をすりつぶすための調理器具を浮かべるのが順当でしょう。 しかし、今ではこの「スリバチ」という言葉が、 「スリバチを歩く」 「あそこはスリバチだ」 といったように、地形の特徴を表す一般的な呼称として、ある程度定着したように見受けられます。これは数年前から考えたらちょっと驚くような、そして嬉しい状況です。 実際、雑誌『東京人』2012年8月号では、「時代が今、地形を求めている」として、東京人初という地形特集が組まれ、表紙にも巻頭特集にもスリバチが大きく取り上げられました。 そんな地形用語としての「スリバチ」を前面に押し出したのが、昨年2月に刊行した『凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』(皆川典久著)です。 ここでいうスリバチとは、台地に刻まれた谷や窪地などの凹んだ地形のこと。その形がすり鉢に