16年前になるのか、娘がまだ入院していたときに。面会を終えてとぼとぼと歩き駅に着いたときに、駅の改札に向かう階段のところの光景にふと目が止まった。 そこには車椅子の男性と、そこに付きそう一人の女性。その女性が明らかに、なんか途方にくれた顔をしていた。 (ああ、なんか困ってるんだ…)と思った。ドキドキした。その困っている要因が、あの車椅子という物体になんか関係があるような。そして、その車椅子という物体に、なんか自分が入り込めないようなムードを自分が感じていることとか。 そのときに。いや〜、今から思えば本当にあの頃のあの時期の自分、いろんなものを抱え込んで、いろんな不安も抱え込んで、そして気負っていたんだろうと思う。娘が入院して、心疾患とダウン症の告知を受けて。まだ一ヶ月かそこらの頃だった。 わたしは障害児の母親になったのだ、と。これからそうやって生きていくのだと。今、逃げてはいけないのだと思