「ネット社会の若者ことば」というお題をいただいた。たしかに「2ちゃんねる」(http://www.2ch.net/)に代表されるインターネット上の掲示板(1)の書き手たちの多くは「若者」と推察される。しかしながら、本当のところはわからない(とすべきである)。特に「2ちゃんねる」は基本的にほとんどが「名無しさん」として参与しているために、年齢や居住地などの個人情報は知り得ないからである。匿名性は電子掲示板上のコミュニケーションの特徴の一つとなっている。 本稿では、サイバースペースとも言われるインターネット上の空間に飛び交う、(おそらくは)若者のことばを、匿名性が生み出す新しい創作、限定資源からの創造、ビジュアルなコミュニケーションの遊戯性などの観点から概観してみたい。同時に電子メディアによる日本語のコミュニケーションを支える日本語変換システムが日本語使用者の「書く」という言語活動に与える影響