要 約 1. 大学卒業者、大学院修了者の就職状況は景気動向に大きく左右される。ただし、就職・採用活動の時期と卒業の時期のずれなどから、卒業年次より1 年程度前の景気の影響が大きい。このため、2009 年3 月卒業・修了者の場合は景気悪化の影響が限定的だったが、2010 年以降の卒業・修了予定者には大きな影響が出ると懸念される。 2. 大学、大学院在籍中の過ごし方よりも、就職・採用期間にどのような景気情勢に巡り合うかに振り回されることは好ましくない。新卒か否かより、資質や能力などが就職・採用を左右するようになることが望ましい。それには企業側の対応だけでなく、大学や学生側にも職業人養成機能の強化、職務適応力の取得が望まれる。雇用対策として職業訓練や技能取得に関する支援制度等の政策を行うことも重要だが、在学当時や卒業後を通じて関連が乏しい分野の職業訓練を受けるよりも、一定の下地を備えている方が適