肝臓は障害が起こっても症状が現れにくいとされ,「沈黙の臓器」と呼ばれている。しかし,実際には肝炎や肝硬変,肝がんといった肝疾患にはさまざまな症状を伴う。そのうち,意外に多いのが全身の皮膚の痒みだ。肝疾患の中でも患者数が最も多いC型肝炎ウイルス(HCV)を原因とした肝疾患では,「体がだるい」「手足がつる」に次いで「体が痒い」ことを自覚症状として挙げる患者が多く,これらが3大症状となっているという。3月15日に東京都で開かれたプレスセミナー(主催=大日本住友製薬)では,虎の門病院(東京都)肝臓センター分院長の熊田博光氏と東都医療大学ヒューマンケア学部教授の鈴木剛氏が「知られていない肝臓病の痒み」をテーマに講演。肝疾患患者の実に3人に1人が痒みに苦しんでいる実態を紹介し,その対策を示した。