IT(情報技術)バブルの絶頂から、ソニーショックと騒がれる苦闘の日々まで――。 ソニー(6758)の経営を10年間担った出井伸之氏が口を開いた。 「時代の変わり目に立ち会った経営者として、自分の経験をすべて書き残すべきだ」。 こう判断した出井氏が、本に書き切れなかったこととは何か。 ソニー時代と日本の将来について、その思いを聞いた。 NBオンライン限定の特別インタビューとして紹介する。 (聞き手は日本経済新聞記者 宮東 治彦) ―― まずは今回、なぜこの本を執筆されたのか、経緯を教えていただけますか。 出井 僕がソニーの経営に携わった1995年から2005年というのは、ものすごい激動の10年だった。日本は不況のどん底に転落する10年だったし、技術的にはインターネットが出てきて、世の中を大きく変えようとしていたわけですよね。 またそういう中で業界構造も大きく変わろうとしていた。僕が当時日本人