ストーリーの王道は、友情・成長・勝利の三原則とよく言われるが、今の世代にはたぶんこの三つの要素が欠如しているのではないか。 悟り世代とはよく言ったもので、戦後70年。成熟社会に到達して早30年。 人生のキャリアパスも、大抵の人間の葛藤も分析されきってしまい 学校に言ってもいちいち葛藤とか迷いとか人間の弱さと向き合うなんて経験はほとんどしない。 人生で迷ったり戦ったり挫折したりする前に、既にあらゆる答えが存在していることを感覚的にわかっているから、「敵にも家族がいる」だの「私たちが戦う理由」だのいちいち考えたりする必要すら感じない。 したがって、共感に伴う体験といったベースがないから、主人公の迷いや弱さを物語の中で示されても共感しづらい。むしろ滑稽に見えてしまうわけだ。 だから作品の中で出てくる主人公は既に答えを知っている必要があるし、当然選ぶ選択のすべては正しく、そして主人公は絶対に負けな
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