ある時、A山さんから電話がかかって来た その日はまだ夏で、陽も高くて暑くて、帰りにみんなで学校の近所の商店でアイスを買って食べていた時だった。 ふと、電話がブルブルと震えるので急いでポケットから出してみる。 二つ折りの携帯電話を開いて誰からかかって来たのかを確認すると、父方の祖母の姉の従弟の息子さんで民俗学などを研究していると言うA山さんからの電話だった。 何故A山さんなのかと言うと、あ〇〇〇〇〇〇山 と言う事で、読む名前が長い。 しかも、あ以降の名前を思い出せなくて、それでA山さんと呼んでいるのだが、当の本人も「A山です」と名乗っている事が多いので、それで良いのだろう。 A山さんは30回位はベルを鳴らすタイプの人なので、まったりと通話のボタンを押しながら電話を耳に当てた。 私「もしもし、お久しぶりです。今日は一体何の御用でしょうか?」 A山「あ、環(たまき)ちゃん久しぶり。この間来たのは