「酒乱の父親が好きじゃなかったんですよ。家に帰りたくなくて、中学の頃は夜中でも外をフラフラして、ヤンキーと呼ばれるような子たちとつるむ時期がありました」 弁護士や法曹に興味を持つきっかけを尋ねると、意外なところから回答がスタートした。 「友達の中には悪いことをして逮捕される子もいました。ただ、グループの中でも頭が良くて人気がある子は捕まらない。たとえば3人で万引きをしたら、人が良くて、勉強ができなくて、人望がない子ばかりが鑑別所に行く。正義とはなんだろうと司法制度に憤りを持つ中高生時代を過ごしていました」 そのような視点で社会を見つめる経験は、大阪市立大学の3回生の授業で、裁判員裁判を傍聴した時に一層深まった。 「同僚に殺される。家族も殺されるかもしれない」と妄想に襲われた統合失調症の被告人が同僚の頭を木槌でたたき、頭蓋骨陥没させた事件。 「私も同じような状況であれば、家族が殺害される前に

