薬の副作用や病気の発生件数の本当の変化を正確に把握するのは難しいです。たとえば、タミフルの副作用として異常行動が疑われると広く報道されたのち、異常行動の報告数が増えたとしたらどうでしょうか。報道によって異常行動に注意がより多く払われるようになり、以前であれば報告されなかったようなものでも報告されるようになった結果かもしれません。 副作用だけでなく病気の発生件数でも同じことが言えます。性感染症である梅毒は感染症法に基づいて診断すると全数が届出の対象になります。ここ数年、日本における梅毒の報告数が増えてきています。増加の理由はよくわかっていません。本当の病気の増加だけでなく、注目を集めて診断されやすくなったことも理由の一つではないか、と考えます。 梅毒は疑って検査すれば診断は難しくありませんが、逆に言えば検査をしないと診断につながらないことがままあります。以前であれば、診断がつかないまま自然治