昨シーズンの途中から横浜FCを率いている山口素弘監督は、寡黙なタイプである。チーム状況などについて質問しても、ほとんどの場合は「いろいろだよ」と、のらりくらり、かわされてしまう。そんな監督が、珍しいほど熱く語った。直前にFW三浦知良とサッカーを見ることの大切さについて話したばかりだったこともあり、山口監督にも前日に行われた横浜FM対マンチェスター・ユナイテッドの感想を聞こうと思ったのだ。 「昨日の試合を見ましたか?」。そう切り出すと山口監督は「見たよ」と言い、試合の印象を聞くと、即座に「あのマン・オブ・ザ・マッチ(以下、MOM)はないんじゃない? ありえないでしょ。選手がかわいそうだよ」と語り出した。さまざまな思惑があってのことだろうが、その試合のMOMには、30分ほどの出場にとどまり、得点にも絡んでいない、試合に敗れたマンチェスター・UのMF香川真司が選出されていた。デイビッド・モイーズ