風俗嬢の7つ道具のひとつにタイマーがある。 彼女らは時間で自分を売るのが仕事だから必ずその時間を計るタイマーが必要なのだ。 どこにでもあるごく普通のキッチンタイマー。 果物の形をした、それ。 お店を何度か変わっても、持ち歩くそのタイマーだけは変わることはなかった。 iPhoneの機種や鞄や洋服、下着や髪の長さ、髪の色、体型、話すこと、心の内。 彼女に付随する様々なものが目まぐるしく変わっても、そのタイマーだけは変わることはなかった。 ものよく無くす彼女。 家の鍵や定期券を無くすのは定期なのに不思議なことにそのタイマーだけはずっと無くさずに持っていた。 そして風俗を引退した後もそのタイマーは現役で彼女はそのタイマーを見ながら配信をする。 ふと元増田を読んで、そのことを思い出した。なぜだろう。 たぶん、物というものはあくまで物でしかないという認識の仕方に共通項を見出したのだろう。