「昨日を捨てることなくして、明日をつくることはできない」(P.F.ドラッカー) 「捨てる決断」をした近年の快挙は、Appleだ。2001年、従来のOSを捨て、新OS「OS X(オーエステン)」に切り替えた。コンピュータのOSの全面切り替えは、大きな賭けである。その後のiPadの成功が、Appleの「捨てる決断」の正しさを証明している。 しかし実に驚くべきことだが、捨てる事業を選択し、一方で新規事業を立ち上げることを決断し、そのために資源を投入しようとすることに無関心な経営者が余りにも多過ぎるということが、筆者の実務経験やコンサルティング経験から言える。 捨てる事業や新規事業について必要性を感じていないとか躊躇(ちゅうちょ)しているとかというのなら、その前に一旦はテーマとして意識したのだろうからまだ救いがあるが、どうやら彼らの多くは、捨てる事業にも新規事業にも最初から関心がないようなので