邪悪なものににらみを利かせ、寺を守る仁王像にも追い払えない存在があったようだ。奈良県葛城市の当麻寺(たいまでら)で、木造の仁王像の頭の中にニホンミツバチが巣を作り、推定数千匹が周囲を飛び回っている。仏像を傷める恐れがあるため殺虫剤を散布するわけにもいかず、かといって解体するとなれば膨大な費用がかかる。寺側は「仏像の手前、殺生もできない。放置しているわけではないのだが…」と頭を抱えている。(藤木祥平) 口からひっきりなしに 寺の玄関口に当たる仁王門で、参拝客を迎え入れる仁王像。向かって右が大きく口を開けた阿形(あぎょう)像、左が口をぎゅっと結んだ吽形(うんぎょう)像だ。2体のうちミツバチは阿形像の方におり、口からひっきりなしに出入りを繰り返し、ガラス材とみられる半透明の両目(玉眼)の奥に大量にうごめいているのが分かる。内部の全容をうかがい知ることはできないが、頭部の空洞に巣があるのは間違いな