医師臨床研修において「評価」が関心事となるにつれ,医師として重要なコミュニケーション能力や問題解決能力,あるいは「人格の涵養」などは,従来の手法では評価が難しいことが指摘されるようになった。そこで注目されるのが,学校教育や海外の医学教育で活用されている「ポートフォリオ」だ。本座談会では,医療現場での実践を踏まえ,臨床研修におけるポートフォリオ評価の意義を検証する。 ◆ポートフォリオ(portfolio) 紙ばさみ,書類鞄の意味から転じ,建築家やジャーナリストが持つ代表作品歴の意味。情報を一元化することによってテストなどで数値化できない成長を評価できるとして,現在教育界や医学界で広がっている。医師卒後研修においては例えば,教育目標や学習計画を定め,学びや達成度を証明する資料(文書,写真など)を研修医自身が収集し,クリアファイルに保存。学んだことに関する省察・ふりかえりを研修医-指導医間で行う