問題提起2 労働政策と生活保障 濱口/広井さんのお話は、2ラウンド目でますます広くなったのですが、私の2ラウンド目は、ますます世俗的な話になります。 第1ラウンドで私がお話ししたのは、この『福祉ガバナンス宣言』第1章で書いたことと大体同じです。この委員会にはもっとほかにいろいろな先生方がいます。本当は福祉国家とか福祉ガバナンスという議論をするのであれば、社会保障システムや生活保障システムといったテーマについて議論されていた、駒村康平さん、後藤玲子さんといった委員の方々にご登場いただくのが筋のような気もするのですが、労働を中心とした、仕事を中心に据えた福祉社会という視点から、生活保障をどう考えるかについて、ごく簡潔にお話ししたいと思います(編集部注̶当日配布資料の論文、濱口桂一郎「労働政策と生活保障」を巻末に収録したので、参照されたい)。 雇用保険(失業給付)と生活保護の断層 労働が商品とし