広告業界のワーク・ライフ・バランスを達成するには、広告代理店側の尽力だけでは難しい。クライアント側も思考回路を変え、悪しき慣習を断ち切ることがカギだろう。 昨年、日本で大きな議論を呼んだワーク・ライフ・バランス。世間では、社員に理不尽な仕事を強いる広告代理店の責任を問う声がいち早く上がった。だが、なぜ代理店の社員は過剰な仕事をこなさなければならないのか、その原因を解明しようという動きは見られなかった。代理店の不健全な企業文化もさることながら、クライアント側にも問題があるのではないか – こうした声はほとんど聞かれなかったのだ。 広告業界における長時間労働や燃え尽き症候群の主な要因は、多過ぎる競合プレゼンテーションにある。広告代理店とクライアントの関係に詳しいグローバル・コンサルティング企業「R3」のプリンシパル、グレッグ・ポール氏は、「日本ほど年間でプロジェクト単位の競合プレゼンが多い国は