ナゴヤカルチャーあいちトリエンナーレ評 宮本佳明《福島第一さかえ原発》2013 怡土鉄夫氏撮影。原寸大の建屋の図面をテープで記した シアンブルーのTシャツを着たボランティアらが運営を支えた=愛知県岡崎市の松本町会場 東京国立近代美術館 蔵屋美香・美術課長 ●多様な視野、獲得の場に 今年、ベネチア・ビエンナーレの日本館でキュレーションを担当した。まずはここでアーティスト、田中功起と私がやろうとしたことと、今回のあいちトリエンナーレで感じたことを比べながら、少し述べたい。 ベネチアでは田中の映像作品を5本展示した。テーマはあいちトリエンナーレと部分的に共通する東日本大震災だったが、映像には「5人の陶芸家が一つの陶器を作る」「5人の詩人が一つの詩を書く」など、一見震災とは関係なさそうな協働作業の経過が映し出される。もちろん、東北の大変な様子を直接的に記録することもできた。しかし、それを遥(はる