女優・中谷美紀の舞台デビュー作であり、『第19回読売演劇大賞 優秀作品賞・優秀女優賞・優秀スタッフ賞』『第46回紀伊國屋演劇賞 個人賞・団体賞』を総なめにした『猟銃』(2011年初演)が、今春、パルコ劇場をはじめ、全国6都市にて再演される。 『ノーベル文学賞』候補にもなっていた昭和の文豪・井上靖による『猟銃』(1949年、新潮文庫)は、妻帯者である三杉穣介と彩子という不倫カップルの13年にわたる物語を、穣介の妻・みどり、彩子、彩子の娘・薔子(しょうこ)という三人の女性が穣介に向けて綴った手紙の文面で浮かび上がらせた短編小説。一組の男女による秘密裏の関係は、文学的な美しい描写によって、不倫関係の煩悶、止まらない愛情、そして巻き込まれた人々の葛藤を描き、物語は彩子の服毒自殺という悲劇的な結末へと突き進んでいく。 「不倫」は、過去から現代まで文学のテーマとしてさまざまな形で描かれてきた。日本に限