新聞社というところは昔から、派閥抗争の激しい世界である。特に東京本社編集局ともなると、人数が多いだけに、その諍いの激しさは尋常ではない。私は1990年代、およそ8年間にわたって毎日新聞東京社会部に所属し、延々と事件取材やら選挙取材やらを続けていたが、このころの毎日社会部にもやっぱり派閥抗争みたいなものがあった。社会部記者たちは警視庁グループと東京地検グループというおおよそ二つの流れに分かれ、お互いが日々反目し合っていた。政治の世界ほどの明確な派閥ではないため、別にそれぞれが独自の集会を開いたりしていたわけではないが、「毎日社会部の10年抗争」などと揶揄する関係者もいたりして、やはりあれはれっきとした派閥抗争だったのだろう。 一方の派閥の記者が、他方の派閥の記者に「おまえなんか次はぜったい地方に飛ばしてやるからな!」と恫喝するという場面もあったりした。支局からあこがれの社会部に栄転してきたば