祖母は84歳のときに、膝に人工骨を入れる手術をした。50代後半から膝がひどく痛み出し、痛み止めの注射を毎週のように打ち続けていた祖母の膝は軋みをあげて、祖母はすり足でしか歩けない。 祖父をおくったあと、生活するには不自由がないと祖母は思っていたようだが、叔母のひとりが、「一緒に旅行に行くためにも膝の手術を受けよう」と熱心に祖母を説得し、祖母はしぶしぶ承諾した。 「80代になっての全身麻酔って大丈夫なの?」と母に聞くと、「確かにそうなんだけど、悪くない話のように思える」と母はそう話していた。 「84歳にもなるとリハビリが大変だと医者は言うけど、おばあちゃんは根気強いから大丈夫だと思う。それに手術を受ける病院はうちの近くだから、毎日みんなで見に行ける。ただ、ちょっと心配なのは、人工骨は20年しか持たないっていう話なの。でも、104歳までおばあちゃんが元気かなぁと思ったら、それはないかなぁって思