夢のエネルギー「核融合発電」の実用化に向けた研究が大きな節目を迎える。今秋にも量子科学技術研究開発機構(量研機構)が、世界最大の核融合実験装置「JT―60SA(SA)」を稼働する。フランスで建設中の「国際熱核融合実験炉(イーター)」を使った国際プロジェクトを補完し、人材育成を促進する役割なども期待される。海外でも核融合発電をめぐる研究開発が加速しており、関連の部品ビジネスにも商機が広がってきた。 「昔から核融合発電は『実用化まであと30年、あと30年』と言われ続けてきた。それだけにSAやイーターの建造は、(実用化が)現実味を帯びてきたという意味で感慨深い」。東芝エネルギーシステムズ(川崎市幸区)の大勢持光一シニアエキスパートは、これまでの苦労を振り返る。 量研機構は那珂研究所(茨城県那珂市)に日本と欧州が参画するSAを建造し、早ければ秋に稼働する。真空容器を収める「クライオスタット」のサイ