(本稿は『花束みたいな恋をした』のネタバレを含みませんが、私の感想を読んで変な先入観を持つ前に観た方が良いと思います。) 美しすぎるものは暴力だというのが『花束みたいな恋をした』の感想だ。 劇場を出てしばらく放心した後、スマホを立ち上げてはてブを眺めたのだが、映画の美しさに比してあまりに薄汚れているので見るに耐えず、ブラウザを閉じてしまった。 本作は大学生の絹と麦が出会って別れるまでの四年間を描いた映画だ。終電を逃したことで出会った二人は失った自分の半身を取り戻したかのように恋に落ちる。 二人の恋より美しい恋をした経験のある観客は存在しない。本作を観た全世界の人は今後どんな経験をしても、絹と麦の恋よりは美しくないという劣等感にさいなまれるだろう。私の場合、絹役の有村架純さんがもともと好きな上に、役作りでちょっとふっくらしていてタイプど真ん中すぎるのでよりダメージがでかい。 さらに、私は小説