齊藤誠・名古屋大学大学院経済学研究科教授 2011年3月に起きた東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から3カ月後に『原発危機の経済学』を脱稿し、同年10月に刊行。続く『震災復興の政治経済学』、近著『〈危機の領域〉』に至るまで、震災と原発に真っ正面から向き合ってきた。 これほど大変なことが自分の社会で起きたのだから、目を背けずに見ようと思った。震災の直前に、行動経済学に基づく人々の地震リスクへの対処について研究発表していた。震災発生当時、震災をテーマにする社会科学者はあまりいなかった。他の研究は保留しようと腹をくくった。 事故後、反原発論者たちは「明日から原発をゼロにしよう」と主張した。だが、放棄するといっても原発はとても危険な構造物で、使用済み核燃料の問題は残る。技術の底辺をどう支えるのかも問題だ。周到かつ創造的な対応が必要となる。拙速に廃絶を決めることを危惧した。 残り1966文字(
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