知らず知らずのうちに、日本が統制国家に向けて歩み始めている。資本主義社会では、政府は可能な限り民間企業の活動に介入しない方が良いというのが常識だが、その命題は市場が正常に機能していることが大前提となる。経済の低迷が続き、市場機能が失われつつある日本においては、政府が介入した方が、事態が改善するという皮肉な状況となっている。 だが、政府の介入に過度に依存する状況を放置すれば、日本経済はますます機能不全を起こす可能性が高い。政府は介入によって事態の改善を図りつつ、本来、企業が持っている姿を取り戻すための諸改革を進めることが重要である。 「最低賃金制度がない国」より賃金が低い かつての日本は、低賃金・長時間労働が当たり前の社会であり、元請け会社が下請け会社対して過度な値引きを要請することも当然視されていた。こうした行為は労働基準法や独占禁止法、下請法などによって禁じられているが、企業活動を優先す