Home TAP the SCENE ラスト・ショー〜スモールタウンの風景で描かれる「語るに足る、ささやかな人生」 - TAP the POP 『ラスト・ショー』(The Last Picture Show/1971) そこに住んでいる人以外は誰も知らないような、ごく小さな町が、アメリカには星の数ほどある。「スモールタウン」と呼ばれている。人口は、多くても1万人には満たない。せいぜいが3000人どまり。町のサイズはメイン・ストリートを中心に、縦横にわずか数ブロックほどだ。 こんな文章で始まる一冊の本がある。2012年に惜しくも亡くなったトラベル作家・駒沢敏器氏の『語るに足る、ささやかな人生』だ。作家はアメリカを横断しながら、スモールタウンだけに立ち寄ってこの短編集のような魅力を放つささやかな物語を描いた。 住人どうしが皆顔を知っているから、一定の距離を保ちながら互いを支え合って生きている。