宮治は1978年、神奈川県藤沢市の養豚農家の長男として生まれた。4つ下の弟に「絶対に実家は継がないオーラが出ていた」と言われるほど、学生時代は家業を継ぐなど考えたことも無かった。農業に興味も無かった。父親から継いでほしいと言われたことも無かった。慶応大学総合政策学部を卒業すると、一般企業に就職した。農業のことが気になり始めたのは、社会人1年目の秋だ。 宮治は「いつかは起業したい」という夢を胸に、毎朝5時半に起床し、出社前に会社近くのスターバックスで本を読み、勉強することを習慣にしていた。たまたま数冊の農業関連の本を読み、日本の農業の負の側面を突き付けられた。就農人口の高齢化。きつい上に稼げない、結婚もできない、だから後継者もいない。このままでは、日本の農業が廃れていく。 そう思うと、「実家をなんとかしたい」「日本の農業をなんとかしたい」という思いがフツフツと湧いてきた。そして「1次産業をか