上野駅の前を通るときは、甘栗をよく買って帰ります。上野駅の駅構内は今ではすっかりと様変わりしていますが、不忍口を出るとすぐに高架下になり、今でも昔と変わらない景色が広がります。不忍口を背にした正面には、天津甘栗の「くりや」の看板が目に入ってきます。バッグ屋の片隅の小さなスペースを使い甘栗を販売しています。前を通るけど、実際に買ったことがなく通り過ぎてしまう方も多いと思います。「くりや」は、僕が物心付いた頃から上野不忍口の風景の一部となっていました。 この甘栗屋の「くりや」が誕生したのは、戦前だと聞いたことがあります。 上野駅と言えば、かつては「北の玄関口」と呼ばれていました。JRではなく、国有鉄道の「国鉄」という呼び名に、今となっては懐かしさを感じる方も多いと思います。1960年代には、東北から集団就職列車が上野駅に多く到着しました。お盆と正月は、東北に帰省する多くの人々で上野駅は賑わった