第二次大戦後、日本人の生活様式は大きく変わりました。家事も大きく変化しました。昔の家事ができる人はおろか、見知っている人も少なくなってしまいました。このままでは誰も分からなくなってしまうでしょう。昔の家事を知っている人がまだ残っているうちに何とか分かるようにしておく必要があるのではないか。それには映画で記録しておくのがよいのではないかと考えて制作したのが「昭和の家事」です。 主役を務めている小泉スズは、明治43年生まれ。ごく普通の家庭の主婦として一生を生きた女性です。彼女は当時の主婦が皆そうであったように炊事、洗濯、裁縫、掃除、育児、看病、近所・親戚づきあいと、一家を支えていく上で必要な家事をすべて自分の手と身体で行ってきました。晩年には家電製品も多少使うようになりましたが、それでも大部分は昔通りでした。そうした彼女が日常的に行ってきた家事を、彼女がくらしてきた家で記録したのがこの映画です