ゲオルク・トラークル(Georg Trakl、1887年2月3日 - 1914年11月3日)は、オーストリアの詩人。第一次世界大戦前夜、凝縮された表現と象徴主義にも通じる色彩感覚で世界苦 (Weltschmertz) をうたった、ドイツ表現主義最大とも評される夭折の天才である。 トラークルは生まれてから18歳になるまでザルツブルクで過ごした。 父トビアスはハンガリー系(マジャール系)の鉄鋼業を手広く営む裕福な業者であった。母マリア(旧姓・ハリック)はチェコ系で芸術と音楽に深い関心をもち、家庭生活より古美術品蒐集に熱心な主婦であり、トラークルはこの母からピアノを教わり、ショパンやリスト、ワーグナーの音楽を好んだ。 トラークルはカトリック小学校に通ったが、両親がプロテスタントであったためか、宗教の授業のみプロテスタント系の小学校へ補習を受けに行った。1897年にザルツブルクのギムナジウムに入学