フレデリック・ウェスト 魂の本物の闇夜では、時計はいつも明け方の3時だ ――F・スコット・フィッツジェラルド「崩壊」より フレデリック・ウェストはまさに「セックス・キラー」の名にふさわしい男だった。 キュルテンと同様、性的に混乱した家庭に育ち、人生を性への妄念に注ぎきったといっても過言ではない。 ロバート・サイモン博士はジェフリー・ダーマーについて語った際、「脳はもっとも重要なセックス器官だ」と述べたが、それはウェストの場合にもそっくりあてはまる。 彼には飽くなき妄想があり、しかも他の殺人者たちとは違い、それを完璧に支持する得がたいパートナーを持っていた。彼自身の妻である。 彼の妻ローズマリーは彼の犯行に加担しただけでなく、彼の妄念にぴったりと寄り添うかたちで加速し、彼とともに――いや、ときには彼以上に――年々その性癖をエスカレートさせていった。