異例の倒産劇だった。1月25日、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)が受理された岡山のバイオ企業、林原(はやしばら)。が、わずか1週間後の2月2日の債権者集会でADRでの再建を断念し、会社更生法適用への切り替えを表明した。 今回、会社更生法を申請した中核3社は、売上高が702億円で負債総額が1318億円。債務超過は500億円以上に上る。 1961年に急逝した父の跡を継ぎ、19歳で就任した林原健・前社長(69=写真)。経営方針は「利益の7割を不動産、3割を研究開発に投資する」というもの。不動産からの安定収入で、大企業にはできない10〜20年の長期戦略の研究開発に経営資源を投下し、オンリーワンの製品を作り出すという異色の経営手法だ。 実際、がん治療薬「インターフェロン」や人工甘味料に用いられる「トレハロース」など、世界的な製品を世に送り出してきた。戦前からの水あめ事業