東京大学に来ている。 私の母校だ。 ウソだ。 齢18の頃、人生における一発大逆転を狙っていたわたしは、予備校の「東大進学クラス」に入った。 そして、二か月で出て行った。 クラスの子たちから疎まれていたことが原因なのではない。 試験科目があまりに多すぎたのだ。 予備校の先生の怒号を聞きながらわたしは悟った。 「人生にはもっとゆとりが必要だ」と。 「8科目も9科目も勉強しなきゃならないなんてナンセンスだわ」 「めんどくさいわ」 「3科目でいいじゃない」 「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」 怠惰の連鎖は限りなく続いていった。 そんなゆとり教育の賜物であるわたしでも何とか「大学生」になれた。でも、心のどこかで今も後悔することがあるのだ。「あの時もっと頑張っていたら、私も東大生になれたのかしら・・・」と。 何度か東京大学の文化祭に行ってみたことがある。クールで、コミカルで、押しつけがまし