働く者にとって、労働時間は大きな問題だ。趣味や家族サービス等の自由時間が奪われるし、過労やストレスによる健康障害の原因にもなる。 その労働時間に関する法的ルールが、いま変わろうとしている。その動きを、大きな関心を持って見ている人も少なくないだろう。 もっとも、この法改正はスムーズには進んでいない。森友加計問題、セクハラ問題などに足を引っ張られたことも原因だが、労働時間に固有の問題に起因している面もある。 それは、労働時間はほんとうに短いほうがよいのかについて、労働者間にコンセンサスがないことだ。 労働時間の規制に対する経営者側の姿勢は比較的明瞭だ。 労働時間をいたずらに短く規制されては困る、必要な残業はやらせてもらわなければ困る、でも長ければいいものではない、大事なのは生産性であり、労働時間あたりの付加価値がしっかり出ていればよい、というものだ。 ところが、労働者側の姿勢は、そう明瞭ではな