パワーあってもスタミナなし! トンネル内で勢いよく私をパスして行く集団、その中にマリンの姿はない。「ふん、素人が!」思わずニンマリする。椿ヶ鼻ヒルクライムのコースは、トンネルからの平坦区間をいかに集団で走るかによって結果が大きく変わる。無理をしてでも平坦区間は集団に残るべきなのだ。 どれだけ平坦区間を1人で待っただろうか? ようやくもう一台バイクの音が聞こえ出した。間違いない、『チャリダー★』の撮影バイクだ! いよいよだ!対決の時が来た! 勢い良く私を抜いて行くマリン! すかさずケイデンスを上げて後ろに張り付く。大したことない速度で少しホッとする。これで猛烈に速かったら恐らく私は立ち直れないだろう。 しばらく張り付くといよいよ緩い勾配が始まる。マリンは坂の始まりでは260wまで上がるが、すぐに220Wくらいに落ちてしまう。まだトルクを掛け続けることができないのだ。ホッとすると同時に己の人間