スーパーでたまに見かけるおばあさんがいた。 最初その人を見たのは夏だった。暑いのにボロボロになった長袖の上着を着て、首にもグレーの小さな襟巻きのようなものを巻いていた。近づいた時、それは襟巻きではなくその人自身の髪の毛で、長い間洗っていないらしく、毛髪の束がくっついてまるで一枚の毛織物のようになったのを首に巻き付けているのだとわかった。 年齢は見たところ80歳は超えている感じだった。痩せていて膝と腰がやや曲がり、ヨボヨボと形容していいような歩き方をしていた。大抵、お弁当やインスタントラーメンや菓子パンを買っていた。 身なりや髪の状態からして、周囲に気を使ってくれる人がいないか、人に構われることを拒んでいるかだろうと思った。デイサービスや訪問介護などのサービスを受けていたら、もう少し身ぎれいにしているのではないか。 もちろん「身ぎれい」の尺度は人によって異なる。髪を大量の三つ編みにして一ヶ月