→紀伊國屋書店で購入 「フロイトのウィーン」 フロイトには三人の息子と三人の娘がいた。息子たちはマルティン、オリヴァー、エルンストであり、娘たちはマティルデ、ゾフィー、アンナである。息子たちは精神分析からは遠い世界で育ったが、末娘のアンナだけは父親から精神的にも身体的にも離れようとせず、精神分析の世界で活躍することになる。 この書物は長男のマルティンがフロイトの生誕百年が祝われた年に書き始められた記録であり、フロイトが生きていた時代と世界がありありと描きだされる。新しいフロイトの伝記で、これからも標準的な伝記として参照されるはずのピーター・ゲイ『フロイト』にもこの書物からの引用がたんさんあり、馴染みの逸話も多い。しかしもとはこの書物が参照されていたのだ。 ごく身近な目からみたフロイトが描かれているだけに、フロイトがどのような人物であったかを、フロイトの書物とは別の形で思い浮かべることができ