かなり前のことですが、NHKラジオで朗読の時間という番組がすべての放送の終わる直前にあり、よく聴いていたものです。今でも思い出すのが、宮沢賢治の「月夜のけだもの」でアナウンサーが「へびのめのかさ」と言ったことです。コレは「蛇の目の傘」を読み間違ったのでしょう。そうそう最近も、といっても3ヶ月ほど前になるでしょうか、気象予報の終わる直前に、アナウンサーがすっかり安心してしまって、うっかりスイッチを切らないまま、素っ頓狂な奇声を発してしまったのを聴きました。その翌日の気象予報の終りに、当のアナウンサーがお詫びをしていました。これには二日連続で、大いに笑わせていただきました。それはさておき、今でも忘れがたいのは「夢酔独言」です。当時ナレーションでよく耳にした、中年の落ち着いた渋い声の持ち主によって語られました。 一頃坂口安吾の熱心な読者だった私は当然「夢酔独言」について知っていたのですが、内容に