今年は大きな別れの相次ぐ夏となった。アレッサンドロ・デル・ピエーロ、フィリッポ・インザーギ、アレッサンドロ・ネスタ、クラレンス・セードルフ、マルコ・ディ・ヴァイオ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、イバン・コルドバといった選手たちが長年過ごしてきたチームに別れを告げた5月13日の午後のことは、まだ多くのファンの記憶に強く焼き付いている。 インザーギやデル・ピエーロの例のように、下ろされたバンディエーラ(旗=クラブのシンボル)に対して本来しかるべき敬意が払われなかったケースもある。契約と金で成り立ち、スポンサーとオイルマネーが猛威を振るう現在のサッカー界では、選手の側であれクラブの側であれ、感傷や愛情の入り込む隙はますます小さくなってきた。「もはやバンディエーラは存在しない」とは言い尽くされた決まり文句ではあるが、そこに事実の裏付けがあることもまた確かだ。だが幸いなことに、まだ例外は存在している。