農林水産省が地理的表示(GI)保護制度に登録した愛知県の豆みそ「八丁味噌(みそ)」が伝統的製法と異なるなどとして、発祥地の同県岡崎市の老舗業者「まるや八丁味噌」が登録取り消しを求めた訴訟で、同社は四日、訴えを退けた東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴する方針を明らかにした。「江戸時代から守り続けてきた八丁味噌ブランドを名乗れなくなる存亡の危機」と主張している。 記者会見した同社側は、GI登録の八丁味噌がタンクで三カ月以上熟成するのに対し、伝統製法では円すい状に積み上げた約三トン分の川石を木おけに重しとして載せ、二年以上天然醸造すると説明。浅井信太郎社長(73)は「製法、伝統、品質が異なる八丁味噌が市場にあふれてしまう」と懸念し、「伝統が続いたのは長年消費者に選ばれてきたから。農水省が『八丁味噌とは何か』を勝手に決めるのはおかしいのではないか」と訴えた。 農水省は二〇一七年、県全体を生産地