ある日の街中。 同じ服を着た男に、出会ってしまった。 全く同じプリントTシャツに、履いているジーンズもやたらと似ている。 胸元に輝くあのロゴマーク。 間違いない、ぼくが着ているのと同じTシャツだ。 何ともいえない気まずさが、 どこからともなくこみ上げてくる。 その気まずさに耐えかねて、 一目散にその場を離れる。 時速7キロの速歩き。 なぜ、気まずいと思うのだろう。 同じTシャツを買うくらいだ。 気の合う仲になれそうなのに。 これが同族嫌悪というヤツか? 同じ極の磁石のように、 反発するのがぼくらの定めか。 まあ考えても仕方がない。 気を取り直して本屋に行こう。 本屋 ああ、だけどダメだった。 やっぱりぼくら似た者同士。 行き先だって、似てしまうのだ。 そしてやっぱり反射的に、 ぼくはその場を去るのであった。 どうしてそう頑なに、 ぼくは彼から逃げるのか。 ぼくは何から、 目を逸らしていると