アルチュール・ランボーはフランスが生んだ天才詩人だ。1870年前後、普仏戦争とパリ・コミューンで揺れるフランスに彗星のように現れ、短い青春を燃え尽きるようにして生きた。なにしろ、わずか19歳で筆をおき、自分の文学的な業績にはいっさい関心をもたず、自由奔放に生きたのである。その生きざまは、自分自身を芸術作品に仕上げたといってよい。 そんなわけで、ランボーの詩は、彼の生き方そのものを反映している。それは19世紀から20世紀にかけての、あらゆる詩人たちに強烈なインパクトを及ぼし続けた。 ランボーの詩人としての資質は、散文で書かれた「地獄の一季節」や「イリュミナション」に凝縮されているが、それに先立つ韻文の諸作品にも、少年のみずみずしい感性があふれており、上記の作品とはまた違った雰囲気を醸し出している。。 ここではそんなランボーの少年時代の詩を、取り上げてみたい。管理人(壺齋散人)よる日本語訳と評