<他の霊長類と人類を比較すると…> 「すべての生物種はユニークだが、なかでも人類はもっともユニークな生物種だ」。進化生物学者のセオドシウス・ドブザンスキーはかつてこう述べ、事実、人類社会はこれまで他の生物種と違うことを誇りにしてきた。しかし、他の霊長類の研究によって「人類が他の生物種とは例外的に異なっている」という概念の基盤はますます揺らぎ始めている。 だが、悪いことばかりではない。人類が例外的に他の生物種と異なるという認識が変化してきた結果、人体の機能にかかわる医学領域での進歩がもたらされ、例えば、ヒヒの心臓を人間に移植して数週間は生存できるようになった。そもそも、人類のRh因子による血液型の名称にしても、実際には人類に似た血液タイプを持つアカゲザル(Rhesus Monkey)に由来している。 人類がユニークであるという俗説を信じたい人には困惑を禁じえない事態だろうが、いまや知識