酸化鉄で描かれる赤絵は南宋時代の中国に誕生した後に日本に伝播しましたが、伊万里や京都そして九谷でその装飾を発達させ現在に至ります。見附は、伝統的な赤絵の作風に従い人物や花鳥も描きますが、繊細な線描で描かれる独特の文様やパターンは特徴があり魅力的です。超絶的な技術はもちろんのこと、瓔珞(ようらく)や七宝文と呼ばれる古くから伝わる文様を部分部分で用いながら、これまでなかったような全体イメージを獲得することに成功しています。この傾向は中心を生かした大皿に描かれる作品にとりわけ顕著でひとつの到達点に達しているかのようです。 見附正康は、1975年石川県生まれ。1997年、石川県九谷焼技術研究所卒業後、福島武山に師事し九谷に伝わる赤絵の技術を取得しました。現在も加賀市に在住し制作しています。近年の展覧会に「工芸未来派:工芸ブリッジ」EYE OF GYRE、東京(2017年)、「REVALUE NIP